『大宅壮一文庫に見るコロナ・パンデミック』に見る無念

 日外アソシエーツ営業の青木です。小社より『大宅壮一文庫に見るコロナ・パンデミック』(2024.6)を刊行いたしました。この本は、日本唯一の雑誌の図書館である大宅壮一文庫が収集している雑誌から、コロナ・パンデミックに関する記事7,420件を集め、時系列に掲載する記事索引です。「大宅壮一文庫に見るコロナ・パンデミック』のページをめくってみましょう。

 始まりは2020年1月に中国武漢で新型肺炎が広がっているという報道でした。そして同年2月に横浜に入港したダイヤモンド・プリンセス号内で感染が広まっていると伝えています。その後、市中からマスクが消え、小中学校が臨時休校となり、ステイホーム、アベノマスクが送れられて来たことが思い出されます。大宅壮一文庫によると2020年(12月末まで)でコロナ・パンデミックに関する記事は3,800件を超えるとのことです。因みに東日本大震災は発生から一年間で2,800件だったとのことですので、いかにコロナ・パンデミック関連の記事で、その時期、雑誌は埋めつくされたかがわかります。

 コロナ・パンデミックに関しては人それぞれに辛い経験や、理不尽を感じる出来事があっただろうと想像いたします。私自身も感染いたしました。幸い症状は軽く後遺症もありませんでした。しかしいまも後遺症に悩む同僚がいます。

 症状に悩む人がおられる一方で「機会」を一方的に奪われた人たちがいます。卒業式、入学式が中止となりました。また多くのスポーツイベント、コンサート、芝居の公演などが中止となりました。一端をご紹介いたします。

スイミング・マガジン 7月号(2020.7)
2324 日本選手権中止をめぐる顚末、そして今後の水泳界のゆくえを訊く 日本水泳連盟青木剛会長インタビュー ※新型コロナウイルス感染拡大による影響〈インタビュー〉[青木剛] p46~49

ソフトボール・マガジン 7月号(2020.7)
2345 インターハイ史上初の中止が決定 ※新型コロナウイルスの感染拡大を受けて p17

卓球王国 7月号(2020.7)
2346 PICK UP ワールドニュース TOPICS JAPAN インターハイ、全中も中止が決定。今夏の全国大会は、軒並み中止・延期に ※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため p30

テニスマガジン 7月号(2020.7)
2374 J MOVE! コロナショックの現在地 インターハイ&全中も中止が決定 ジュニア&学生たちの試練は続く ※春に続き高校・中学の全国大会開催を断念、インカレは開催の可能性を模索 p104~105

 学生スポーツの場合、その奪われた「機会」は一生に一度のものです。その無念さを思うと心が痛みます。さらに次のような記事が目に入りました。

週刊新潮 2月18日号(2021.2)
4301 いつものように幕が開き 歌手はつらいよ「八代亜紀」「川中美幸」が語るディナーショーへの情念 ※新型コロナウイルスでディナーショーやコンサートが開けない歌手たち p32~33

 八代亜紀さんは2023年12月にお亡くなりになりました。その後、歌手のディナーショーなどは再開されたのかもしれませんが、コロナ禍で機会を失った全ての方がとり戻せたとは考えづらいです。ご本人もファンの方々もきっと失われたディナーショーを楽しみにしていたことでしょう。

 記憶は時と共に薄れます。しかし、記録は残すことができます。そして、記録を見返すことで甦る記憶があります。この先、報道なのか、創作なのか、研究なのか、あるいは個人的な事情なのか、2020年からのコロナ・パンデミックの日々を振り返らざるを得ない人が現れるでしょう。その際に本書がお役に立つことができればと願っています。

 尚、記事本文を読みたい場合は大宅壮一文庫にご相談ください。(青)

『大宅壮一文庫に見るコロナ・パンデミック』本文見本
大宅壮一文庫に見るコロナ・パンデミック
 大宅壮一文庫〔編〕、山田健太〔監修〕 A5・820p 2024.6刊 日外アソシエーツ
 定価19,800円(本体18,000円+税10%) ISBN:978-4-8169-3012-6
 ⇒チラシはこちら

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