《編集者インタビュー》MagazinePlus 新機能の舞台裏-1

 営業局の(竹)です。今回、DB編集部Kさんにインタビューを行いました。Kさんは、雑誌文献情報データベースMagazinePlusの制作に長年携わってきたキーパーソンです。昨春から始まった新機能のお話を中心に伺います。

―まずはMagazinePlusについて簡単にご紹介ください。

 “日本最大級”の雑誌文献情報データベースです。

 日外アソシエーツはレファレンスツールの出版社ですので、当社が刊行した、雑誌・書籍の内容を探すための内容細目集(目次総覧)のデータも各種収録しています。『学会年報・研究報告論文総覧』など、収録年度以降の未刊の部分についても引き続き採録を行い、MagazinePlusで検索できるようにしています。

MagazinePlus収録の日外アソシエーツ刊行物一覧
・学会年報・研究報告論文総覧
・論文集内容細目総覧
・文芸雑誌小説初出総覧
・文芸雑誌内容細目総覧 戦後リトルマガジン篇
・戦後詩誌総覧
・現代詩誌総覧
・大東亜戦争書誌
・食文化・味覚雑誌目次総覧
・探偵雑誌目次総覧

 また、国立国会図書館「雑誌記事索引」をベースとして、医薬・理工系を多く含む科学技術振興機構「J-STAGE」、歴史系の「地方史文献年鑑」、さらに戦前期の古い雑誌に関しては国立国会図書館「デジタルコレクション」などを収録しています。

―2024年4月に大きなバージョンアップがありました。その概要を教えてください。

 大きな改善点がいくつかありますが、まず初めにご紹介したいのは、AI処理により、すべての記事に対してNDL(国立国会図書館)に準拠した記事分類を付与したことです。

 「雑誌記事索引」は1975~1995年までの20年間、記事単位の分類を付与していましたが、これは廃止されました。記事分類表をみると300以上の細分類があります。これを人力で振っていくのは、たいへんな作業だったろうなと思います。

 今回、図書館員の皆様の強いご要望を受けて、MagazinePlusの記事分類付与に挑戦することになりました。これはAI技術の進歩があってこそのことでした。まず、過去の「雑誌記事索引」の記事タイトルと記事分類の関係をAIに学習させました。専門の技術者を交えた調整とテストを繰り返し、「これならば」という結果が得られたことにより、実装に至りました。

―記事分類はどのように使うのでしょうか?

 たとえば、一般週刊誌には多岐にわたる分野の記事が載っていますが、その中から特定のジャンルの記事を検索する、などの場面で有効です。「週刊文春」の裁判記事を探す、などがその例です。

 「記事から探す」検索画面の下の方に「記事分類」の選択ボックスがあります。そこで雑誌分類を「一般誌」、記事分類を「法律・司法」と指定して検索することで、一般週刊誌に載っている「司法」記事に絞り込むことができます。

記事分類
MagazinePlus検索画面
検索結果一覧画面
MagazinePlus検索結果の一覧画面

 もうひとつは、同じ言葉がたくさんのジャンルに使われている場合の振り分けです。たとえば「はやぶさ」。検索してみると多彩なジャンルの記事が出てきます。小惑星探査機「はやぶさ」、東北新幹線E5系「はやぶさ」、野鳥の「ハヤブサ」、あとは物語のタイトルとして平岩弓枝さんの「はやぶさ新八御用旅」なども出てきます。

 検索者に必要な「はやぶさ」は、これら全部ではないでしょう。小惑星探査機の「はやぶさ」についての記事が必要なら、一覧表示の左側のファセットで記事分類「宇宙科学」を指定すると、文献数がぐっと絞られるので、探しやすくなります。

MagazinePlus検索結果の一覧画面

 記事分類付与にAI技術を使うのは、MagazinePlusが本邦初だと思います。画期的だと自負していますが、「これはちょっと?」という分類が付与されている記事もあります。今後とも、鋭意ブラッシュアップをしていきたいと考えています。(DB編集部・K)

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