『復刻 歴代風俗写真集』刊行までの道のり

 営業の青木です。『復刻 歴代風俗写真集』が刊行されました。実は私はこの企画の言い出しっぺであります。本書実現までには様々な人との出会いがありました。思い返しますと感慨深いものがあります。一端をご紹介いたします。

『歴代風俗写真集』との出会い

 芝の増上寺の裏手に三康図書館があります。そちらでは明治期最大の出版社である博文館の大橋新太郎が創立した、大橋図書館(1902年~1953年、公共図書館としての役割を担っていた私立図書館)の蔵書が保存されています。

 同館司書の新屋さんにご案内いただいた中で出会ったのが『歴代風俗写真集 1-17』(風俗研究会編 1916-1922 芸艸堂うんそうどう)でした。ひと目見た瞬間、そのユニークな内容に惹かれ、ぜひ復刻したいと感じました。

 三康図書館HP https://sanko-bunka-kenkyujo.or.jp/

著作権継承者を探し求めて①

 『歴代風俗写真集』を作られたのは風俗史家の江馬務氏(1884-1979)でした。著作権の保護期間は70年です。従って復刻刊行するためには、江馬氏の著作権継承者の了解が必要となります。江馬氏は京都で活動された方でした。手がかりは京都にあるはずです。

著作権継承者を探し求めて②

 2023年9月、京都府内の大学図書館を営業する機会を得た私は、江馬氏が教鞭をとられていた京都女子大学図書館に向かいました。司書の方が色々と調べてくださったのですが、江馬氏のご遺族などの動静を知ることはできませんでした。

 ネットで花園大学歴史博物館が2012年に「風俗史家 江馬務の見た明治・大正・昭和」という展覧会を開催していたことを見つけました。花園大学情報センター(図書館)を訪問した折りにそのことをお尋ねしました。が、残念ながら同博物館はその日はお休みでした。

 しかし、ちゃっかりと学芸員の方のお名前を教えていただきました。

風俗史家 江馬務の見た明治・大正・昭和

著作権継承者を探し求めて③

 『歴代風俗写真集』の版元である芸艸堂うんそうどうをアポなしで訪れました。当時、たまたまいらっしゃった山田社長が応対してくれました。版元見本として『歴代風俗写真集』を保管されているのがわかりました。しかしながら、江馬務氏のご遺族に関しての情報はお持ちではありませんでした。

 芸艸堂うんそうどうHP https://www.unsodo.net/jp/

著作権継承者を探し求めて④

 東京に戻った私は改めて花園大学歴史博物館に電話をしました。そして運よく江馬務氏のお孫さん(女性)の連絡先をお聞きすることができました。上記展覧会の際に協力いただいたということでした。教えていただいた連絡先に手紙を送り、後日、お電話をいたしました。

 見ず知らずの、ご存知ないであろう出版社の男の話を聞いてくださりました。そして「おじいさんが残した功績を後世に伝えることができるのなら協力します」と仰っていただきました。

 11月。寺町通の芸艸堂うんそうどうで山田社長を交え、復刻出版の作業を始めることが決まりました。

 まだまだストーリーはあるのですが、本日はここまでといたします。(青)

復刻 歴代風俗写真集』
 風俗研究会編 江馬務解説 B5・約480頁 2023.6刊 日外アソシエーツ
 定価27,500円(本体25,000円+税10%) ISBN978-4-8169-2972-4
 https://www.nichigai.co.jp/PDF/2972-4.pdf

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