《編集者インタビュー》MagazinePlus 新機能の舞台裏-3

 営業局の(竹)です。第1回第2回に引き続き、昨春のMagazinePlusバージョンアップに関する、DB編集部Kさんのインタビュー(最終回)です。

―近年、MagazinePlusで注力している原文リンク拡充の動きについてお願いします。

 外部連携機能として好評のJ-STAGEのDOI(デジタルオブジェクト識別子)リンクがありますが、新たにいくつかの連携を追加しました。今回追加したのは、次の3つです。

 1)NDL(国立国会図書館)デジタルコレクション
 2)NII (国立情報学研究所)機関リポジトリ
 3)MLAリンクコレクション

―それぞれについて伺います。まず、NDLデジタルコレクションについてはいかかでしょうか。

 主に戦前期の雑誌記事について、NDLデジタルコレクションへのリンクが実装されました。NDLの公開基準にも依りますが、遷移先で原文が読めるようになりました。これは大きな機能追加です。

NDLデジタルコレクションリンク
▲MagazinePlus詳細画面の本文確認リンク(NDLデジタルコレクション)
NDLデジタルコレクション本文画面
▲『海と空 : 海軍雜誌』13(12),海と空社,1944-12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1499427 (参照 2025-03-14)

―NDLデジタルコレクションには雑誌記事索引オンラインジャーナル編も加わったそうですね。

 はい。NDLが作成している雑誌記事索引(オンライン資料編)です。2019年から提供が始まったもので、紙媒体での刊行を中止し、インターネットを通じてのみ刊行されるようになった雑誌、または最初からインターネットでのみ刊行されている雑誌の記事文献データです。MagazinePlusに追加登録されるようになりましたので、NDLデジタルコレクションとして原文にアクセスすることができます。
 従来のNDLデジタルコレクションで公開されている文献は、年代的に古いものがほとんどですが、雑誌記事索引オンラインジャーナル編の文献は、最近の記事が主です。オンラインで直接原文にアクセスできるかどうかはNDLの公開基準に依ります。

NII機関リポジトリというのは?

 こちらは、NII学術機関リポジトリデータベース(IRDB)に集約された、主に大学のリポジトリで公開している文献のデータです。各大学が運営するリポジトリ・サイトにアクセスして、原文を読むことができます。今後、益々拡充していきます。

▲MagazinePlus詳細画面の本文確認リンク(NII機関リポジトリ)

―3つ目、MLAリンクコレクションについてはどうでしょう?

 MLAリンクコレクションは、リンク拡充という今回のリニューアルの目玉として当社で企画・制作しました。
 主に博物館、美術館、図書館、公文書館などがWEB上に公開している文献資料をまとめたページにアクセスするためのリンクを提供します。リンクを集めたものなので「リンクコレクション」としました。MLA(M: museum|L: library|A: archives)という名称ですが、さまざまな機関の文献リンクを広く集めています。リポジトリ同様、リンク先で原文を読むことができます。

▲MagazinePlus詳細画面の本文確認リンク(MLAリンクコレクション)

―どのようなきっかけでMLAリンクコレクションを企画されたのでしょうか?

 いま、たくさんの施設が研究成果をインターネット上で公開しています。特に科学系は惜しみなく最新の研究結果を公開していて、それがネット上で読めるなんて夢のようです。
 お気に入りをご紹介すると、「福井県立恐竜博物館紀要」の恐竜関係文献群。質量ともに圧倒されます。こういうものを見るのが好きで、あちこちの博物館サイトで公開された文献を見ているのですが、中身がわからない公開PDFファイルに出会うこともあるのです。
 たとえば、とある博物館サイトでの研究紀要の公開はこんな感じ。

 このように、表示されているのは巻号と刊行年月、PDFファイルの案内だけ、ということがままあります。このような場合、このサイトの、この場所にきて、ファイルを開いてみるまで内容はわかりません。
 それなら、“内容を紹介すること”に関してMagazinePlusがお手伝いできるのではないかと考えた次第です。 MagazinePlusの詳細画面にあるリンクボタンを押しても、直接PDFが開く仕掛けにはしていません。掲載PDFのごく近くまでご案内し、ユーザーご自身にPDFボタンを押してもらう方式です。場合によっては、検索結果の巻号などを確認して該当ファイルを探していただく必要があります。

 これまで国公立の施設、都道府県立の施設についてリンク収集してきましたが、今後は、とくに市町村立の施設の研究成果へのアクセスを拡充したいと考えています。
 これからもMagazinePlusをどうぞよろしくお願いいたします。(DB編集部・K)

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