2026年10月新刊『賞になった人名事典』のご紹介

 本書は、主に日本国内で開催された賞に名が冠されている人物を対象とし、その人物の情報と、賞の概要を掲載する人名事典です。

 日外アソシエーツではこれまで、「日本の賞事典」「世界の賞事典」「最新文学賞事典」等、「賞の事典」シリーズを多数刊行してきました。

 その編集を行う中で、〈芥川賞〉のような著名作家賞以外にも人物の名前を冠した賞がいろいろあることに気づき、「賞名になったこの人物はどんな人だろう、何をした人なんだろう」と疑問に思ったことが、本書を企画したきっかけとなりました。

賞になった人名事典

 賞名に名を冠する人物という切り口から選定してみると、文学・文化・社会・産業・科学・芸術・スポーツなど幅広い分野の人物が並び、ユニークな収録人物の事典になったのではないかと思います。部門賞に名が冠されている人物も多く収録、一般には知られざる賞・人物も掘り起こし、新たな光を当てる内容となっています。

 本書は、人物の職業・肩書、生没年月日、出生・出身地、別名、学歴、家族・親族、経歴を記載し、人物ごとにその名を冠した賞を掲載。さらに、どのような賞なのか分かるよう、賞の由来・趣旨、主催者、選考方法、選考基準等を記載しました。

 巻末には「分野別索引(人物/賞名)」と、地域性のある賞を都道府県別に引ける「地域別索引」を付けています。

 人物を調べるためのツールではありますが、「こんな人がいるんだ」「この人、意外な分野で賞になってるんだ」などと、新しい知識を発見する読み物事典としても利用していただけると幸いです。

 この記事では、制作中に気づいたそうした発見のいくつかを紹介します。

○意外な賞と人物の組み合わせ

 本人の業績と一見関係なさそうな賞に名を冠しているものは珍しく、印象に残っています。特に、ノーベル生理学・医学賞受賞者である大村智氏の名を冠した特別賞が〈全国学校給食甲子園〉に設置されているのが意外でした。

○印象的な賞の由来

 難病で亡くなった声優・松来未祐まつき みゆ氏の名を冠した医学賞〈松来未祐賞〉や、阪神淡路大震災の際に亡くなったロボット工学研究者・竸基弘きそい もとひろ氏の名を冠した、国際レスキューシステム研究機構主催の〈竸基弘賞〉のような、逝去を機にその分野の研究振興を祈念し設立された賞は、その経緯に思いを馳せてしまいます。

○親子・兄弟で見出しが立っている人物

 親子や兄弟そろって名を冠した賞がある人々が何組かいました。

 たとえば、作家・芥川龍之介(父)と作曲家・芥川也寸志(子)、社会学者の尾高邦雄(兄)と指揮者・作曲家の尾高尚忠(弟)。実業家の渋沢栄一(父)と渋沢秀雄(子)、渋沢敬三(孫)のほか先に挙げた尾高兄弟も栄一の孫にあたり、渋沢栄一の親族は全部で6名が掲載されています。著名な家族・親族の項目もありますので、他の組み合わせも見つけ出せるかもしれません。

○外国人の名を冠する賞

 日本国内で開催された賞に名が冠されている人物の中には外国人も多数含まれています。

 日本で活動したドナルド・キーンやラフカディオ・ハーンはもちろん、「日本の衛生工学の祖」とされるW.K.バルトンにちなんだ〈バルトン記念賞〉、ファッションデザイナーのピエール・カルダン本人が最終審査をした〈カルダン・ハイファッション賞〉、日本ヘレンケラー協会が主催する〈ヘレンケラー・サリバン賞〉などのほか、エディンバラ公フィリップ、グリム兄弟、シェイクスピア、マリー・キュリー、マルコ・ポーロ、モーツァルト、ロダンなど様々な外国人が掲載されています。どんなゆかりがあるのかぜひ確かめてみてください。

 また、ソニー創業者・井深大いぶか まさるの名を冠した〈IEEE Masaru Ibuka Consumer Electronics Award〉など、日本人名を冠した海外の賞も一部掲載しています。

○賞が多い人物・人物が多い賞

 本書収録中、由来する賞の数が最も多かった人物は、山本有三と吉川英治の2人で、どちらも5賞でした。

 山本有三の名を冠した賞は〈三鷹市山本有三記念館スケッチコンテスト〉〈山本有三記念郷土文化賞〉〈山本有三記念 子ども朗読フェスティバル〉〈山本有三記念「路傍の石」俳句大会〉〈路傍の石文学賞*〉。出身地の栃木市と記念館のある三鷹市では現在もコンテストや賞が開催されています。

*人物の代表作品名等を賞名に含む賞も、人物由来の賞として収録しました

 吉川英治については、吉川英治国民文化振興会主催の〈吉川英治文学賞〉〈吉川英治文化賞〉〈吉川英治文学新人賞〉〈吉川英治文庫賞〉の4賞は現在も授賞がされていますが、毎日新聞社の主催で昭和37年から〈吉川英治賞〉が行われていたことを知っている方は少ないのではないでしょうか。

 また、人名を冠した部門賞が多い賞は、〈日本音楽コンクール〉の15賞が最多でした。黒柳徹子の父でバイオリン奏者の黒栁守綱など、著名な演奏家・作曲家・実業家等の名を冠する賞が設置・寄託されています。

 本書には、人物1,356名、賞数のべ1,639件を収録しました。本書収録分以外にも賞に名を冠する人物は多数存在しますが、詳細不明の賞や紙幅の関係で載せきれなかったものもあります。

 本書に掲載しきれなかった各賞の詳細や歴代の受賞記録を知るために「賞の事典」シリーズ各冊や、より詳しい人物情報が記載されている既刊の人名事典も併せてご利用ください。

(編集担当・I)

賞になった人名事典(本文)
本文
賞になった人名事典(地域別索引)
地域別索引
賞になった人名事典(分野別索引-人名)
分野別索引(人名)
賞になった人名事典(分野別索引-賞名)
分野別索引(賞名)

「賞になった人名事典」
 日外アソシエーツ〔編〕
 A5・740p 2026.10 日外アソシエーツ刊
 定価14,960円(本体13,600円+税10%)
 ISBN:978-4-8169-3120-8


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