本書は、中高生や大学初年次の学生を対象に、「情報リテラシー」を身につけるために役立つ図書を紹介するブックガイドで、『中高生のためのブックガイド』シリーズの最新刊です。
監修に情報リテラシー教育の研究と実践にあたる梅澤貴典氏を迎え、テーマ別に400冊を精選しています。
学習指導要領の改訂により、2022年から全国の高校で「情報Ⅰ」が必修化したのもまだ記憶に新しいですが、2025年度の文部科学省教科書検定結果によれば、「情報」以外の教科でも、情報リテラシーや生成AIに関する記述が多く見られるようになったといいます。

小・中学校でもプログラミング教育が必修化されているほか、SNSでのトラブル、生成AIの広まりとそれによるディープフェイク等の問題、ネットで悪質な犯罪実行者を集める「闇バイト」のニュースも耳にする昨今、情報リテラシー教育への注目度はますます高まっています。
では、「情報リテラシー」とはそもそも何でしょうか。
定義をひとことで表すことは難しいですが、例えばユネスコのメディア・情報リテラシーに関するガイドライン(2013年)には、情報リテラシーが包括する能力や知識、態度として下記が挙げられています。
- 情報の必要性を認識し、明確化すること
- 関連する情報を探し出し、アクセスすること
- 権威性や信頼性、および現在の目的に照らして、内容を批判的に評価すること
- 情報を抽出し、整理すること
- 内容から抽出したアイデアを統合・活用すること
- 自身で理解した内容や新たに創出した知識を、倫理的かつ責任を持って、適切な形式と媒体を通じて伝達すること
- 情報を処理するためにICTを活用できること
参照:UNESCO 「Media and information literacy: policy and strategy guidelines」(2013)
情報リテラシーは、コンピューターを使う能力「コンピューターリテラシー」や、情報を見きわめる能力「メディアリテラシー」と同義に扱われることもありますが、実はそれだけでなく、集めた情報を活用して新たな知識を生み出したり、それを適切に発信・伝達したりすることまでを含んでいるのです。
これらは近年多くの学校で取り入れられている探究学習や、大学へ進学してからの研究にも繋がる能力です。情報リテラシーは「学ぶ力」と密接に関わっていると言えます。
本書でも、コンピュータースキルやフェイク・デマに流されず情報を見きわめる方法を学べる本はもちろんのこと、
- 情報社会の仕組み
- AI・生成AIの仕組みと付き合い方
- データを正しく読み取り、論理的に考える方法
- アイデアを生み出し、レポートや論文にまとめる方法
- さまざまなツールや図書館を使って調べる方法
など、「情報リテラシー」に関わるあらゆる話題を扱った図書を紹介しています。
本書の「はじめに」(監修者執筆)冒頭には、次のような一文があります。
“ネットに多くの情報があふれ、「スマホで検索すれば、たいていのことは分かる」ように「思えてしまう」のが、皆さんの生きる現代です。”
そんな便利な時代に、なぜ自ら「調べ、考え、発信する」ことが大切なのか?
という疑問に答える図書をカバーしていることも、本書の特徴です。
これからの時代に通用する「学ぶ力」を身につけたい中高生や、情報リテラシー教育に携わる先生方、学校司書の方々の助けになれば幸いです。 (編集担当・Y)
監修者プロフィール
梅澤 貴典 中央大学職員、都留文科大学非常勤講師
中央大学理工学部図書館において、電子図書館化と学術情報リテラシー教育を7年間担当。
働きながら東京大学大学院 教育学研究科大学経営・政策コース修士課程を修了。
主著に『ネット情報におぼれない学び方』(岩波ジュニア新書)。




『中高生のためのブックガイド ネットとAI時代の情報リテラシー―調べ、考え、発信する力』
梅澤貴典〔監修〕 A5・240p 2026.5刊
定価4,180円(本体3,800円+税10%)
ISBN:978-4-8169-3096-6


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