編集者に訊いた新刊紹介―『写真レファレンス事典 日本の鉄道篇』

 こんにちは、新人営業課パーソンの(久)です。

 今回は『写真レファレンス事典 日本の鉄道篇』をご紹介いたします。こちらは、写真レファレンス事典シリーズの最新刊になります。シリーズでは初めて、個人監修者が付いた本となりました。

 まずは、監修者である野田隆さんについて簡単にご紹介します。野田さんは、鉄道旅行をテーマとした本をメインに執筆活動をしている旅行作家さんです。日本旅行作家協会理事、総合情報サイトAll About「鉄道」のガイドも担当されている、いわば“鉄道旅のエキスパート”。近著「にっぽんの鉄道150年」(平凡社新書 2022年刊)が第5回「旅の良書」に選ばれています。本書の解説(シリーズ初の写真付き)も書いていただきました。

 写真レファレンス事典シリーズは、探している写真がどの写真集のどこに掲載されているのかを調べられる写真集の索引です。日本の鉄道篇では、日本国内で撮影された鉄道写真を集めた写真集208冊に掲載されている写真を収録しています。写真点数はのべ43,284点にもなり、大ボリュームです。

 本文は「JR・国鉄」「私鉄」「展示施設」と分類し、鉄道事業者・路線を北から南へと排列しています。調べたい鉄道がどの路線を走っているのかがわかっていると、目次から簡単に調べることができるようになっています。

 さらに、本書には「撮影地索引」と「撮影者索引」がついています。

 「撮影地索引」は写真が撮られた場所から鉄道写真を調べることができ、たとえば自分の知っている地域にはどんな鉄道写真があるのか、などを調べるときに役立ちます。

 「撮影者索引」は写真を撮影した人から鉄道写真を調べることができます。こちらは撮影者の名前がわからないとなかなか活用する機会はないかもしれませんが、撮影者ごとに撮影した鉄道の種類や数を一覧できます。どの鉄道を中心に撮影していたのか、活動の中心地はあったのか、など発見があるかもしれません。

 「撮影者索引」の中で驚いたのは、江戸幕府15代将軍・徳川慶喜の名前もあった点です。お手に取る機会があれば、探してみてください。

 今回もイチオシポイントはたくさんあるのですが、注目したいのは

ある時代の様子がわかる写真に行き着くことができる

 鉄道写真は鉄道をメインに撮影されているのが一般的なのですが、今はない建物を背景に走っている鉄道や、人や車の距離が近いところを走っている路面電車など、鉄道を背景に人の暮らしをも見ることができる資料だと思います。編集担当者は、掲載する写真の調査中に「改めて鉄道が生活の足として使われているのを感じた」と話していました。また、野田さんも鉄道写真について「鉄道を通じて、その時々の世相や社会の変化さえも切り取った貴重なドキュメント満載の文献」(野田隆さんによる本書解説30行目より)と解説しています。鉄道写真には多くの魅力があり、情報も豊富なことが伝わります。

御殿場線山北駅付近の桜のトンネルを行く小田急ロマンスカー
御殿場線山北駅付近の桜のトンネルを行く小田急ロマンスカー
撮影:野田隆
11年前 2013年の御茶ノ水付近 イベント列車115系電車
11年前 2013年の御茶ノ水付近 イベント列車115系電車
撮影:野田隆

 しかし、実際にある時代の鉄道写真が見たいとなった時に、あまたある写真集をひとつひとつ調べることは気の遠くなる作業です。そんな時に本書を活用すれば208冊の写真集にどのような写真が掲載されているか、あるいは掲載されていないかを容易に調べることができます。また、前述したふたつの索引を活用すれば、違う視点で時代背景を調べるヒントを得られるかもしれません。

 鉄道写真を調べる際、まず手に取っていただきたい1冊となりました。ぜひチェックしてみてください。(久)

写真レファレンス事典 日本の鉄道篇
野田隆〔監修〕、日外アソシエーツ〔編〕  B5・1,360p 2024.2刊

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写真レファレンス事典 日本の鉄道篇

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